構造生物 Vol.1 No2
1995年12月発行

実験ステーションBL-6Bの建設状況


渡辺信久

高エネルギー物理学研究所放射光実験施設
1995年11月18日

第一班

Abstract

A new experimental station BL-6B for the TARA project will be constructed on a bending-magnet beamline at the Photon Factory during the next winter shutdown. The branch beamline will be equipped with a Pt-coated bent plane silicon mirror and a silicon monocromator.

1 現状

TARAプロジェクトのタンパク質結晶構造解析用実験ステーションBL-6Bは1996年5 月の利用開始を目指して建設作業が進められています.BL-6Bの構成およびパラメタを 図1と表1に示します.

BL-6BのデザインはBL-6AおよびBL-6Cの位置によって制限を受けていますが,基 本的にはBL-6Aと類似の光学系配置になっています.現在はまだ建設フェーズのため, 第1サブプロジェクトの鈴木と渡辺がミラーその他ビーム輸送系および実験ハッチ周辺を 担当し,坂部が分光器およびカメラ部分を担当して作業をすすめています.現在のBL-6B は水平方向最大4mradのビームを受けていますが,建設中のBL-6Bでは分光結晶の大 きさや集光X線の平行性を考慮すると4mradは必要ないため,BL-6Aの実験ハッチの 上流に水冷マスクを新設して2mradに制限することにしました1.ミラーはシリコンに 白金を1000Åコートしたもので1m長です.曲げ機構はBL-18BのH鋼に抱かせる方式 を止め,直接ベント方式としました.標準的には曲率半径2,600m,見込み角3mrad (カットオフ波長0.44Å)で使用します.ビームラインのベリリウム窓の厚さの合計は1 mmです.分光器とカメラ部分は現在まだ設計中ですが一体設計されるためBL-6Aより も使い勝手は向上すると期待しています.Joham型の分光結晶の場合は0.95Å(Pb LIII 吸収端)程度までを1枚の結晶でカバーするため,BL-6Aに保有している非対称名7.8度 のものをそのまま使用する予定です.また,リングのシールド壁内にあるブランチビーム シャッターの駆動回数を減らすため,下流シャッター(DSS)を設置します.BL-6Bのハッ チ上部およびBL-6Bの実験ハッチとBL-6Aの実験ハッチの間の部分には2階デッキを 建設し,イメージングプレート読取機や処理用ワークステーション等の設置を可能にしま す.なお,この建設に合わせてBL-6B用の配電盤の新設も行い,1φ100V 200A, 1φ200V 100A, 3φ200V 100Aの使用を可能にします.

2 今後の作業予定

現在のBL-6Bの撤去作業を12月27日から始め,1月中にBL-6A部分の改造を含む ビーム輸送系の設置作業を行います.2月前半に実験ハッチおよび2階デッキ部分の建設 を終了し,中旬に冷房装置や実験用電源盤の設置作業を行います.2月下旬もしくは3月 上旬にビームライン検査委員会の立ち会い検査が行われます.4月1日の放射線安全言丸験 を経た後,約1ヵ月間の立ち上げ調整作業を行い,5月1日から利用実験を開始する予定 です.立ち上げ調整作業を1ヵ月という短期間で終了するということはこれまでに経験が 無いため,第1サブプロジェクト構成員以外の方々にもテスト測定等をお願いすることに なると思われますのでよろしくお願いします.


1これに伴いBL-6Aの実験ハッチ内を貫通しているBL-6Bのビームパイプを63.5mmの物に交換しますので,BL-6Aの短波長側の制限も若干緩和されます.


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