構造生物 Vol.2 No.2
1996年10月発行

IPデータのバックアップおよびDAT保存システムの効率化


佐々木教祐

名古屋大学医療技術短期大学部

TARA用実験ステーションBL6Bが順調に稼働し始め400×800oの大型IP を2枚まで使用してデータを収集できるようになった。質のいいデータを収集でき る反面1枚のIP当たり64MBという膨大な量のデータがコンピュータのディス ク上に吐き出される。一つの結晶のデータを20枚のIPで集めると1.28GBが 必要となり、DATが1本必要になる。一回の利用においてDAT数本が必要にな るであろう。このような状況の下、大容量のデータを効率よく保存処理するシステ ムを考えなければならない。将来的にはデータ処理を自動化し、IまたはFの値に して持ち帰ることになるであろうが、当面は「自分のIPデータをDATに落とし 自分の研究室に持って帰る」作業を効率的かつ安全に行うことが必要である。

その実施方法としてTARA用仮設収納施設(プレハブ)の利用が10月からできる ことも考慮に入れて次の整備を考えている。

  1. 大容量のデータを保存するデータサーバを設置する。
  2. サーバに保存されたデータは自動バックアップを行い、ユーザのDATが事故 により読めなくなったときでも再生できるようにする。
  3. IP読取装置とデータサーバの間を高速の回線で接続する。
  4. PFにおいてデータを処理して帰りたいユーザのためにワークステーション、 またはパソコンを設置し利用してもらう。
  5. 現在、筑波大学に置かれているA1phaStation,Indigo2 IMPACTおよびPower MacはPFに移設し、QUANTA, XsightなどもPFで利用できるようにする。

今年の10月から12月のビームタイムに向けての整備計画(図参照)

  1. データサーバとしては筑波大学から移設するA1phaStation 600 5/266をプレ ハブに設置しディスクを40GBに増設し利用する。現在各実験ステーション に設置されているDECのワークステーションは今まで通り利用でき、そこで DATや8oテープに保存することもできる。
  2. バックアップ装置の設置は次回まで見送る。
  3. BL6A, BL6B, BL18Bに設置されている大型IPの読取装置をファ 日スト・イーサネット(100Mbps)で結び、プレハブに設置するデータサーバとの 間は光ファイバケーブルで結びスイッチングにより高速データ伝送を行う。
  4. PFにおいてのデータ処理については、パソコンで動くDENZ0があるとのことな のでどのような機種を導入するかは今後の検討課題とする。
  5. プレハブに Indigo2 IMPACT(ディスク8GB増設済み)を移設し、QUANTA, Xsight なども利用できるようにする。Indigo2 IMPACTを使ってDATにデータを保存 することも可能になる。PowerMacもプレハブに移設する。

今年度末までの整備計画

  1. データサーバをA1phaStation 600 5/266からAlphaServer2000 5/250に強化し、 150GB程度のハードディスク装置、280GBの自動バックアップ装置、 4台のDAT装置を増設する。ユーザが各自のデータをこのサーバに入れるこ とにより自動的にデータのバックアップが行われ、持ち帰ったDATが読めな かったときでもバックアップテープから再生することができるようになる。ま たDATが4台接続されているので同時に4本のテープにデータを落とすこと ができるようになる。

これらの強化によりユーザの作業は次のように変わる。結晶からの反射を記録し たIPは読取装置を使ってデータ化され、データの確認後データサーバにftp転送さ れる。予約時間内に収集した結晶データすべてをデータサーバに転送した後、プレ ハブに行ってDATにデータを保存する作業をする。データサーバに保存されたデ ータは自動バックアップ装置によりテープに保存され、ある期間を過ぎると自動的 に削除される。バックアップされたテープのデータもある期間を過ぎると消去され る。以上が今年度に行われる予定の整備計画ですが、今後さらに使い易いシステム になるよう努力していきたいと考えております。


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