構造生物 Vol.2 No.2
1996年10月発行

一緒に働きませんか?


畠 忠

三共(株)分析代謝研究所構造解析研究グループ

 東海道線と並んで走っていた東京発の東海道新幹線が品川駅を大きく迂回し、 東海道線を越えると間もなく、左の車窓に三共(株)のマークのついた建物が写 ってくる。ここはかつて官営ガラス工場のあった地で、20数年前までは、その 名残であるレンガ造りの建物が戦災にも耐え残存していたが、今は犬山の明治村 でその余生を送っている。

 三共(株)の創業は、アメリカ在住の高峰譲吉の発見した胃腸消化薬タカヂア スターゼの輸入販売を開始した明治32年(1899年)のことである。当時は 三共商会で、その名称は3名の共同出資にちなんだものである。その後、農学博 士鈴木梅太郎が世界で初めて発見したビタミンであるオリザニンの工業化にも成 功している。大正2年には高峰譲吉を社長として迎え、三共株式会社が誕生した。 製薬の文字がないのは、製薬に囚われず、自由に他の分野にも視野を広げる意味 だそうだが、主力は現在製薬である。まだ覚えている人もいらっしゃると思うが、 あの白バイで有名だった陸王も三共の子会社であった。

 現在従業員数は約7300名でそのうち約1400名が研究開発に従事してい る。X線グループは12ある研究所のうち、分析代謝研究所に所属している。人 員は生体高分子関係が2名、低分子関係が1名、それと筆者の計4名いたが、去 年の12月に生体高分子関係の1名が退社し現在は3名である。この人数で5年 程前から、当社のドル箱商品のメバロチンの生産に関与しているチトクロム P450の構造解析に取り組んでいる。自分達で酵素の精製から行なっているの で、最初の頃は大量精製の設備が無く、かなり手間取ってしまった。強度データ はPFで取り、構造も決まり学会発表までこぎつける事が出来た。P450を手 掛けたころは、生体高分子の三次元構造の重要性の認識については必ずしも一般 的ではなかったが、最近は酵素阻害剤を中心にしてかなり事情が異なって来てい る。それでも、遺伝子操作によりおもしろい酵素はいくらでもあるのに、それが 結晶化が出来る程の大量発現まで漕ぎ着けるものは少ない。将来は自分達のグル ープで大量発現できるような実力を持ちたいと思っている。もし、このようなグ ループで一緒に働きたいとお考えの人がおりましたら、新卒、中途採用に拘わら ず、ご連絡下さい。


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