構造生物 Vol.2 No.2
1996年10月発行

研究室紹介


山崎憲一

第一製薬株式会社・創薬基盤研究所

 主に蛋白質の構造解析を行う我々グループは、昨年秋の組織改正で創業基盤研究所に配置されまし た。この研究所が組織されるに当たっては、SBDDの重要性が認識されて、我々と非常に関係の深い 遺伝子操作・蛋白生産及びCADDのグループも一緒に配属されました。本研究所には他に Combinatorial Chemistry,HTS(High Throughput Screenir)等のグループも配属され、これから の新薬開発における基盤技術を保有する研究所です。

 構造解析グループは下の写真の6名であり、私の下にX線解析は鈴木誠(東大薬佐藤研に留学経験)、 永田親弘(東工大生命理工田中研より今年入社)の2名が担当し、NMR解析は長谷川淳(大阪大蛋 白研に留学経験)、寺沢宏明(東県都臨床研に留学経験)、今井英美(現在訓練中)の3名が担当し ています。装置面は、X線回折装置はリガクRAXIS-Uc(+AFC7R)、NMR装置は、この秋に やっとVaian Inova 600が導入される予定です。コンピューター関係は、解析用にSGIのIndigo2が2 台あり、QUANTA/CHARMm,XPLOR,CCP4,FELIX等が導入されています。これら解析関係の装置 は高額であり、予算の確保で苦労しています。

 さて、体制はこのように整いつつありますが、成果の方は?の段階です。これまで外部発表したも のは、抗凝固薬とトリプシン複合体のX線結晶解析、チトクロームC552のNMR構造解析、IGF2の NMR構造解析等で、まあまあの状況ですが、新薬の開発への寄与という目的は未だ達成されている とは言えません。どこも同じと思いますが、解析対象となる蛋白質を見つけて生産するところがネッ クとなり、なかなか思うようには進んでいません。TARAのビーム使用状況を見ると、結構民間企 業の方が使用されておりますが・我々は割り当てを使いこなせるか微妙なところで、少なくとも不足 はしておりません。これからは早く多くの蛋白質を抱えて、ビームタイムが足らないと嘆くようにな り、新規蛋白質の解析を行いたいものです。

 写真:後列左から鈴木、山崎、長谷川、永田、前列左から寺沢、今井


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