構造生物 Vol.3 No.3
¶1997年12月発行

第4回運営委員会報告


坂部知平

運営委員会委員長

開催日時 平成9年9月11日(木)13:00〜16:00
開催場所 高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所・TARAプレハブハウス・2階(トレーニングホール)

出席者

プロジェクト代表者 : 祥雲弘文
運営委員会委員長 : 坂部知平
運営委員会委員
伊藤晋、加藤洋一、川上善之、栗原宏之、坂部貴和子、
佐々木教祐、佐藤明啓、祥雲弘文、白鳥康彦、
鈴木榮一郎、月原冨武、田仲可昌、野中孝昌、
畠忠(議長)、松崎尹雄、松下正、三浦圭子、
岬真太郎、宮野雅司、森川耿右、山崎憲一、渡辺信久
オブザーバー
曽我部智(書記)、宮本康弘
欠席者
佐藤能雅、東常行、三木邦夫
報告に先立ち、会議運営上重要な議案「運営委員追加について」が最初に提案 され承認された。これについての詳細は議題の所で述べる。

報告

  1. TARA坂部プロジェクトの代表者交代について(本誌Vol.3,No.2,p29参照)。(報告者坂部知平)
    本年3月31日を持って坂部知平教授は筑波大学を定年退官した。これに伴い、本プロジェクトの代表者は祥雲弘文教授に引き継いで頂くことにな った。従って、祥雲弘文教授が坂部知平に替わり本プロジェクトの代表として運営委員会に参加する。

  2. 本プロジェクトの参加団体及び出資企業の増加(本誌Vol.3,No.2,p31参照)。(報告者坂部知平)
    現在42団体、145人が本プロジェクトに参加している。特に、昨年度塩野義製薬葛yび味の素鰍ェ本プロジェクトの出資企業になり、岬真太 郎氏及び鈴木榮一郎氏が運営委員になった事が紹介された。尚、現時点の出資企業数は14社である。

  3. 行事委員会報告(本誌Vol.3,No.2,P32参照)。(報告者畠忠)
    第一回TARA坂部プロジェクト講習会が6月27日に筑波大学で開催された。講師は、塩野義製薬鰍フ岬真太郎氏、演題は「岬流CCP4の使い 方」参加者数39名であった。

  4. 編集委員会報告(報告者栗原宏之)
    本年度は機関誌の発行を3回予定しており、既に2号まで発行した。本誌がISSN番号1342-9663に登録され、国会図書館に納入された。 又、3巻2号より「学振末来開拓」と称する項目が新たに設けられ、坂部知平研究員が代表者として行われている、学振の受託研究プロジェクト (JSPS-RFTF96R14501)の成果を掲載することにした。

  5. Xsightバージョンアップ説明会(本誌Vol.3,No.2,p52参照)。(報告者三浦圭子)
    4月23日TARAプレハブ計算機室でMSI社の構造生物学分野サポート担当者により、今秋バージョンアップされるXsight97に関する講習会が 行われた。参加者は19名であった。

  6. ダイナプロ設置について(報告者坂部知平)
    Protein Solution社の動的光散乱測定装置(ダイナプロ)が購入され、PFの実験室に設置された。この装置の試運転をはじめ、初心者の世話な ど三浦圭子さんが必要に応じて相談を受けている。

  7. TARAプレハブの2階への改造(本誌Vol.3,No.2,p43参照)。(報告者坂部貴和子)。
    本プロジェクトは42団体、145名から構成されているが、この中には大学院生の数が入っていない。従って実質的にTARAプレハプを利用す る研究者数は300人を上回る。更に、学振未来開拓で購入或いは開発した物品も本プロジェクトに属し有効に利用するためには多くの物品をTA RAプレハブに収容する必要がある。そのためTARAプレハブを2階にした。

  8. 筑波大学よりKEKに対する実験ステーション増設要求(資料1参照)。(報告者坂部知平)。
    筑波大学より学長名で物質構造科学研究所長あてに、共同研究に係わるBL6Cビームラインの設備増設についての申請が行われた。これに対して 松下正副所長より「このビームラインは現在多くの分野の研究に使用されているため、共同研究に関する部会において本件に関し前向きに検討中で ある」との報告がなされた。

  9. 日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業の委託研究による自動データ収集システム(本誌Vol.3,No.2,p77参照)。(報告者坂部知平)。
    平成8年度から5年間の計画で学振未来開拓委託研究として開発が進められている、「放射光による生体高分子結晶解析用高速高精度高分解能自動 データ収集システムの開発」について研究代表者である坂部知平氏より装置の概要と期待される性能について説明が行われた。

  10. 計算機及び光ケーブルによるネットワーク等(資料2参照)。(報告者佐々木教祐)。
    実験ステーションを含むプレハブ内にプライベートネットワークを設けた。学振未来開拓の費用で購入したAlphaServer4000(100GB)が設置され、実験 ステーションから送られてくるデータはこのServerに記録され、一定期間経つと自動的にServer内のDLTにバックアップされる。DISK内に保存する 期間はデータ収集量に依るため運用を開始してから決定する。これらの管理運営は名大の佐々木教祐及び現場としてFAISの宮本康弘氏が担当する。 ネットワークのセキュリティーの問題から、外部にはアクセス出来るが、外部からこのプライベートネットワークにはアクセス出来ないようにした。 各自が持ち帰るため行うDATへのバックアップ用にSGIのO2を2台及びDECを2台を購入する。 このほかプレハブ内の各部屋にネットワークがひかれた。

  11. ソフトに関する説明。(報告者佐々木教祐)。
    現在、Indigo2及びDECAlphaにインストールされているソフトに関する概要が説明された。

  12. 予約システム(報告者佐々木教祐)。
    ビームタイム、計算機、仮眠室等の利用予約プログラムの手直しが行われ使い易くなったこと及び使用上の留意点についての説明があった。

  13. カメラ及び大型IP読取装置(報告者渡辺信久)。
    これまで問題になっていた部分については殆ど対応済みである。又モノクロメータも変更され、最終的には波長の変更も各自で行えるようにしたい。 使用に関しては、構造生物Vol.3,No.2,p.56-68を参照されたい。

  14. その他
    松崎尹雄委員より構造生物Vol.3,No.2,P.62に記載されている試料結晶からポーラロイドカセットまでの距離150mmは誤りで、160mmに訂正する必要があ るとの指摘を受けた。(訂正とお詫び、本号86頁)
議事

  1. 運営委員追加について(提案者畠忠、坂部知平)
    1. これまで坂部知平氏は本プロジェクトの代表として運営委員会に出席していたが本年3月定年退官に伴い祥雲弘文教授と交代した。そこで、坂部知 平氏を運営委員会委員長に推薦するとの提案が畠忠委員からなされ審議の結果了承された。又、この決定に先立ち、前号の構造生物に坂部知平氏を 運営委員長として運営委員会名簿に記載したことも事後承諾された。

    2. 本プロジェクトは筑波大学とKEKとの協定研究として成立したものである。今回KEKは機構になり、放射光実験施設は物質構造科学研究所(物 構研)になった。本来なら最初から加わってもらうべきであったが、この機会に物構研の委員として副所長の松下正教授を推薦したいとの提案が坂 部知平委員長よりなされ、審議の結果承認された。

    3. 坂部知平委員長より現在空席の第l班副班長に姫路工業大学教授の安岡則武氏が推薦され、承認された。更に、同じく現在空席の第2班の副班長に 名古屋大学教授佐々木教祐が推薦され審議の結果了承された。

  2. 平成8年度決算(提案者坂部知平)
    表1に示す平成7年度の決算報告がなされ、更に山崎憲一委員から監査報告がなされ、審議の結果了承された。

  3. 平成9年度予算(提案者坂部知平)
    平成9年度予算案が提案された。人件費が大幅に増額したのは、これまでは秘書の早瀬由記さんのみであったがこれに加え、FAlS専任研究員として、 坂部知平及び宮本康弘の両名を雇用した為である。又建設費の多くはBL6C建設用であるとの説明がなされ、審議の結果承認された。表2に承認 された平成9年度予算を示す。

  4. TARAプレハブの利用方法について(部屋割り等提案者坂部知平)
    1階に8部屋、2階に6部屋計14部屋を出資企業用の研究室にしたい、又非企業(主に大学研究者)メンバーのためには103室にロッカーを用 意したとの提案がなされた。又、トレーニングホール、談話室など共通の部屋はビームタイム中も自由に使用できる。審議の結果了承された。引き 続き部屋割りも行われた。表8に各企業の部屋番号を示す。

    表1.平成8年度収支報告書

    自 平成8年 4月 1日
    至 平成9年 3月31日

    TARA坂部プロジェクト
    収入の部 支出の部
    エーザイ 4,000,000 物構研経費 20,000,000
    キリンビール 4,000,000 FAIS経費 10,480,000
    三共 4,000,000 建設費(プレハブ,電源,光ケーブル) 91,681,330
    生物分子工学研究所 4,000,000 計算機類(スイッチングHUB,ルータ,他) 24,792,785
    第一製薬 4,000,000 その他備品費(4軸回折計) 38,299,948
    中外製薬 4,000,000 プログラム整備 11,479,758
    日本たばこ産業 4,000,000 印刷、通信費 2,726,377
    日本ロシュ 4,000,000 消耗品費 5,484,977
    萬有製薬 4,000,000 人件費 5,087,321
    藤沢薬品工業 44,000,000 旅費、会合費 4,726,249
    三菱化学 44,000,000 謝金 1,470,327
    山之内製薬 24,000,000 送金手数料 167,368
    味の素 44,000,000 雑費 650,164
    小計 192,000,000 小計 217,046,604
    筑波大学TARA 2,500,000    
    先年度繰越 107,155,042 次期繰越金 84,608,438
    合計 301,655,042 合計 301,655,042

    以上ここに報告致します。

     坂部知平

    表2.平成9年度予算案
    自 平成 9年 4月 1日
    至 平成10年 3月31日

    TARA坂部プロジェクト

    収入の部 支出の部
    エーザイ 4,000,000 物構研経費 20,000,000
    キリンビール 4,000,000 FAIS経費 4,560,000
    三共 4,000,000 建設費(TARA用第2ステーション) 60,000,000
    生物分子工学研究所 4,000,000 計算機類(DEC、O2、他) 5,000,000
    第一製薬 4,000,000 その他の備品費(什器) 7,000,000
    中外製薬 4,000,000 プログラム整備費 3,000,000
    日本たばこ産業 4,000,000 印刷、通信費 2,700,000
    日本ロシュ 4,000,000 消耗品費 4,000,000
    萬有製薬 4,000,000 人件費 16,100,000
    藤沢薬品工業 4,000,000 旅費、会合費 5,000,000
    三菱化学 4,000,000 謝金 2,000,000
    山之内製薬 4,000,000 送金手数料 200,000
    味の素 4,000,000 雑費 500,000
    塩野義製薬 44,000,000 小計 130,060,000
    小計 96,000,000    
    先年度繰越 84,608,438 次期繰越金 50,548,438
    合計 180,608,438 合計 180,608,438

    但し、味の素(株)は2月に次年度分を払い込むために収支に記載されている金額は次年度分である。

     坂部知平

  5. TARAビームラインの利用方法(現状説明坂部知平、提案者畠忠)
    第1回運営委員会によって暫定的に決定された「ビームタイム配分に関する決定事項」(構造生物創刊号69頁参照)に従って現在の配分方法を説 明した。また、TARA実験ステーションを利用するときだけでなく、BL6A、BL6B及びBL18Bを利用する場合でも、国内在住TARA 坂部プロジェクトメンバー全員が本人或いは実験協力者(主として大学院生)に実験毎に2人までTARAから旅費の援助を受けれるよう配慮して いる事を説明した。又この事により、TARAの全ての機器を分け隔てなく利用できる。従ってTARA実験ステーションのビームタイム配分方法 を含め本プロジェクトの運営は国内の蛋白結晶解析を行う全ての共同利用者及び出資企業メンバーの総意に従っていると云える。 現状説明に引き続き、ビームタイム予約方法に付いての提案がなされた。 議論の結果、少しの変更があり了承された。
    この決定は予約プログラムを修正するのではなく各人の良心に従うと言う取り決めが下記のようになされた。(詳細については本プロジェクトのホ ームページを参照されたい。)
    1. 今期はPFリング長期シャットダウンのため、暫定的に出資企業は4日(96時間)、非企業は1日(24時間、即ち変更無し)とする。

    2. 出資企業の予約は常時2日を越えないものとする、即ち1コマの実験が終了すれば次の1コマが予約出来るものとする。

    3. 今期の予約開始日は9月22日とするが、9月28日までの最大予約数は出資企業は2コマ(24時間)、非企業は1コマ(12時間)とする。

  6. 総会について(提案者坂部知平)
    これまで年1回総会を開催してきたが、これからは必要に応じて開催する、即ち運営委員会委員長が必要と認めたときのみ総会を開催するため総会を 開催しない年度もあり得る、その場合決算、予算の承認などこれまで総会の承認事項であった事柄に対しては今後運営委員会の決定を持って総会の 決定に替えることが出来る。又、必要に応じ、通信などにより総意を決定する。

  7. TARAプレハブのお披露目(提案者坂部知平)
    お披露目についての提案がなされ審議の結果了承された。但し連絡の範囲はつくばに限る。
表3.出資企業の部屋割り
部屋番号 企業名 部屋番号 企業名
105 キリンビール(株) 106 日本たばこ産業(株)
107 塩野義製薬(株) 108 中外製薬(株)
109 (株)生物分子工学研究所 110 藤沢薬品工業(株)
111 味の素(株) 112 第一製薬(株)
201 三共(株) 202 日本ロシュ(株)
203 山之内製薬(株) 204 萬有製薬(株)
205 三菱化学(株) 206 エーザイ(株)

付記

本報告は運営委員全員の了承を求めた後、特に議事項目2、3、6について総会の代わりにファックスによる投票により決定されたものである。

投票結果
有権者数145名
投票総数121票(投票率83.4%)

議事項目2、平成8年度決算報告
認める 121票, 認めない 0票

議事項目3、平成9年度予算
認める 121票, 認めない 0票

議事項目9、総会について
認める 120票, 認めない 1票

投票用紙に意見欄を設けたところ3名の方から意見が寄せられたので紹介する。

ご意見

  1. 総会が必要に応じて開催されるというご意見に賛成します。
  2. 総会は出来得る限り年1回開いた方が良いと思われる。
  3. 会社に働く人間として、少なくとも1名/会社位の参加で特に予算などは決定する必要を感じます。今回は例外的な処置として認めざるを得ませんが、 民間で働く者と官で研究する者とのgapが生じない様に、出来るだけ民主々義で運営して戴きたく存じます。意志のそ通をはかって戴きたく存じます。 TARAプロジェクトが風通しの良い、健全な発展をとげるために、皆で作り上げて行く作風を作り出したいものです。
此の機会に運営委員会の構成や開催日程についてコメントさせて頂きます。

  1. 運営委員会委員の構成(本誌表紙の裏面参照)
    各出資企業は1名の運営委員を出す権利を有する(現在出資企業14社ですから企業の運営委員が14名)、サブプロジェクトの班長及び副班長全員このほか 今回より物構研の委員1名が加わりました。サブプロジェクトの班長副班長は企業非企業の区別なくまた出資、非出資企業の区別無く運営委員会で認められれば なることが出来ます。現在非出資企業の運営委員は第2班の班長である、理学電機の東常行君1人です。又東君は本プロジェクト客員教授です。

  2. 運営委員会を開催日の決定方法
    1人でも多くの委員が出席できる日時を決定するためのアンケート調査を行っています。今回の運営委員会には出資企業の運営委員全員が出席しています。
ご意見のある方は運営委員会委員長坂部知平或いは企業代表の三共梶E畠忠氏までご連絡下さい。


ご意見、ご要望などは下記のアドレスにメールを下さい。
sasaki@tara.met.nagoya-u.ac.jp