構造生物 Vol.3 No.3
1997年12月発行

萬有製薬(株)創薬推進第一研究室の紹介


中野文雄

萬有製薬(株)つくば研究所・創薬研究所創薬推進第一研究室

萬有製薬(株)つくば研究所は、1992年に、つくば市の北部、テクノパ ーク大穂内に設立されました。このつくば研究所は、創薬研究所、生物医学研 究所および探索研究所の3研究所体制を敷き、現在、約260名の研究者が創 薬研究を行っています。我々が所属する創薬推進第一研究室は、つくば研究所 のLANをサポートするコンピューターグループ(8名)、コンビナトリアル・ ケミストリーグループ(8名)、コンピューターモデリンググループ(2名) および構造化学グループ(6名)の3グループで成り立っています。この中の 構造化学グループは、機器分析による構造解析を行っており、NMR(2名)、 質量分析(2名)、X線(2名)の構成です。

坂部プロジェクトに参加しているX線関係は、現在アメリカの大学へ出向し ている1名を含めて2名で、低分子化合物や生体高分子の構造解析を行ってい ます。使用している装置は、リガクのR-AXlS2C、APC-7S、解析用ワークステ ーション(SGI)2台です。

NMRは、通常の合成化合物は研究者白身が測定しているので、我々は日本 電子製のEX-400とA-500を使用して、主に天然物の構造解析を行っています。 質量分析は、二重収束型(日本電子製、SX-102X)と四重極型(VG製、Quattro H)を保有し、主に低分子化合物や代謝物の分析を行っています。 生体高分子の立体構造解析はX線の独断分野でしたが、近年、NMRも装置 の高磁場化やパルスシーケンスの改良で、その測定対象のひとつとなり重要視 されてきています。我々も高磁場NMRを導人し、生体高分子の立体構造解析 を行う必要を感じています。また、質量分析もMALDI-TOF等も導入し蛋白質の 測定依頼に対処していく必要があります。更に、現在、研究に使用する蛋白質 の入手は他部門に依存しており、グループ内で供給できる様に態勢を整える必 要もあります。

まだまだ、ハード、ソフト共に不十分で早急に拡充する必要がありますが、 PFが、つくば研究所から車で5分程度と言う位置にあり地の利を生かして研 究を進めて行きたいと考えています。


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