構造生物 Vol.4 No.3
1998年12月発行

BL-6Cの現状


鈴木守、五十嵐教之

高エネ機構・物構研

この夏のPFシヤットダウン中に行なっていたビームライン建設は無事終わり、イ ンターロック試験など所内試験も通過し、ハッチ内にビームを出せる状況になりま した。その後11月にインターロックの手直し、12月に入ってからも平板ミラー の位置調整・集光調整、3GeV運転対応を行なうなど順調に立ち上がってきており、 あとは実験装置を待つばかりとなっております。ここでは先日行なった平板ミラー の調整状況について報告したいと思います。

反射光調整

蛋白質結晶解析用のビームラインでは通常6mradの反射光 が用いられますが、1.8Åぐらいの長い波長では3次光(この場 合0.6Å)の影響がでてきます(図2)。BL6Cでは長波長で の3次光除去のため、12mradの反射光も利用できるようになっ ています。また、調整作業のことを考えるとダイレクト光も 通す必要があります。そこで、図3のようにベリリウム窓を 上下2枚付けることにより、ダイレクト光と6〜12mrad反射 光を同時に通すことを可能としました。実際にミラーの角度 を変えていった時のビーム位置のイメージを示します(図4)。 仕様通り、ダイレクト光及び6〜12mradの反射光がハッチ後 方(31.3m)まできていることが確認できました。


図4. ハッチ最後尾(31.3m地点)での反射光

集光調整

通常使用される6mradの反射光で、集光予定位置(28.6m) にイメージングプレートを設置し、ミラーの曲率を変えて露 光しました。図5に示しましたように、最適な集光を得るこ とができる位置を確認できました。集光条件の微調はカメラ 設置後に行い、モノクロによる水平方向の集光とあわせ、ビー ムサイズ等の測定を行なう予定です。

スリットでビームを水平方向5mmまで切り、SUS板のアッテ ネータを入れた状態で露光。露光時間はDSS開閉により手動で コントロール。ダイレクト〜2.0mrad、そして6〜12mradま での反射光が観測できる。3〜5mradの反射光は2枚のベリリ ウム窓の間となるため通過できない。

図5.集光点(28.6m地点)での6mrad反射光のミラー集光

上と同様にスリットでビームを水平方向5mmまで切り、SUS板のアッテネータを 入れた状態で露光。IPは傾斜させてある。露光時間はDSS開閉により手動でコント ロール。26000 pulse 分曲げた時に最大集光となっている。


ご意見、ご要望などは下記のアドレスにメールを下さい。
sasaki@tara.met.nagoya-u.ac.jp